自分の名前を伝えることほど面倒なことはない。
はじめに、私が名前一つでひねくれるようになったのは、
名前が悪いからだ!!!と、責任逃れをします。
私は「優子」という名前。
名前を聞かれて漢字を説明するたびに、
「じゃあ、優しいんですね」と言われることが多かった。
優しいんですね?ってなんだ?
優しいんですね、と言われるたびに困惑してきた。
優しいかどうかはわからない、
優しい時がないわけでもないが、優しくない時もある、
優しくしなければいけないんだろうか?
そもそも、優しいとは何なんだろうか、
わからない・・・だんだん腹が立ってくる。
今日は人に優しくできなかったな、と思った日に限って、
この優しさとはなんだろう?というワナに、はまってしまう。
この名前でなければ、こんなに優しさについて考えなくてもいいのに、
と、また、腹が立つ。
あああ、疲れる。
少し年を食って、最近では、名前の漢字を説明する時に、
「優しい子と書きますけど、優しくはないです。名前だけです。」
と、言うようになった。
そうするようになってからは、優しいんですね、
とは言われなくなったように思う。
ただまあ。
伊賀さんという人に出会った時に、
「祖先は忍者ですか?」
と、瞬時に口から出ていた自分のことを思うと、
「優しいんですね」も、そう深い理由はないんだろうな、
とは思う。
名前だけで、人から何度も繰り返し言われることが違う、
とすると、一人ひとり見た目も何もかも違うわけなので、
だれが、周りの人から、どんなことを言われ続けているかなんて、
わからないもんだな、と思ったりもする。
名前を聞いて、はあ、そうですか、というのも失礼かな?
と思う時もあったりするけど、
自分は、はあ、そうですか、と言われたいなと思う。
いったい、どうすりゃいいんだ・・・。
ああ、面倒だ面倒だ。
名前は面倒だ、と思うけど、
誰にも名前がなかったら、
それはそれで、困ることもあるのかもしれないな、
と思ったりもする。
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