ななせ
こたつに入ってたら、ななせが恐る恐るひざの上に乗ってきた。
何回もひざに乗ってきてるのに、まだ、乗る時はおそるおそる。
寝ているところを、なでてたら、
初めて会ったときのことを思い出した。
ねこシェルターのゲージの中の、さらに洗面器の中にまるまって、
出入りする人間を時々チラッと見ては、
寝たふり?をして息をひそめているようだった。
なぜか、すごく親近感がわいた。
こわがりで、おどおどして、今でも忍び足で歩く。
シェルターのボラさんから、かぼそい声で遠慮がちにしか鳴かないと聞いた気がしたけど、
お腹が減った時は全力で呼ぶし、まあ、かぼそくは無いな。
姫
姫と初めて会ったのも、ななせと会ったのと同じ日。
ななせと同じ部屋のゲージにいて、ゲージには黒い布がかぶせてあって、
布の間から、きらっと光る眼をみた。
外が見えると落ち着かなかったらしい。
今となっちゃ、そんな影もみえないけど。
ななせの素性は、全く知らない。
姫は、1歳~2歳半くらいまで、預かりボランティアさんの家にいたみたい。
最近になって、そのボラさんが書いていたブログをみつけて、読んだ。
「姫」って名前は、そのボラさんが付けたらしい。
1歳までは、かなり苦労をしたようで、
保護された時は、4回洗ってもくさかったらしい。
しかも触れなかったそうで、麻酔をしている隙にシャンプーしてもらったんだって。
ななせと姫がうちに来ることになった時に、
保護をしていた人は、過去のことも、未来のことも何も言わなかった。
人間の世界にありがちな
「こういう経緯があるから、こう配慮してください」
なんてことを全く言われなかった。
もし、その時にたくさん聞いてたら、身構えただろうな。
最初に聞いたのは、
ゲージに目隠し布をすると安心して隠れていられるかも、
1~2年もすれば慣れてゲージから出てくると思います、
ということだけ。
姫とななせの行く先を心配しないわけはなく、
でも、くどくどと言わない。
潔い。
私には、なかなかできない、難しいこと。
人を信用する、って、そういうことなのかな、と思った。
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