2013/02/19

2番目が1番目にみえるかもしれないこと

自分の一番すきなことをしていい、これは、私にとってはすごく難しい。

幼稚園の頃、箱に入った折り紙のセットをもらったことがあった。
赤色が一番上に入っていて、わあ、きれいな色と思った。
もったいないから赤色は使わずに、
下に入っている他のきれいな色から少しずつ使っていた。

ある日、めずらしく幼稚園の友達が家に遊びに来た。
その折り紙のセットを出して、何色がすき?と聞いたら、
「赤がすき」と言ったか言わないかのうちに、
私が大切に残していた赤い折り紙だけを、ぱっぱと全部使って、
「他の遊びしよ」と言われた。

え、ええええ?と思った。
何かが衝撃的だったようで、今でも、その光景をよく覚えている。

私は、一番好きなものは、なかなか使えない。
かわいい紙石鹸も、ばんそうこうも、引き出しにしまって、
時々見るだけで、最後には、ボロボロになっていたし、
好きな色の色鉛筆も、残して、他の好きな色から使っていた。

赤は残しておいて、緑とか青をよく使った。
よく使っているもの、いつも持っているものの多くは、
自然と2番目にすきなものが多くなっているのだけど、
周りからみたら、1番すきに、みえるのかもしれないなと思う。

それを、一番すきなものを使えばいい、と言われると、
途端に、難しいなと感じてしまう。
一番大切なものは、汚れないようにしまっておいて、時々見るのがいい。


赤い折り紙を使われた日の夜、おそらく泣きやまない私に手を焼いた母は、
「赤い折り紙を買いに行こう」と、何度も言っていた気がする。
あ、そうか。
だから、はさみも、オルゴールも、ドライヤーも、
いっつも買ってきてくれるものは、どれもこれも赤色だったんだ。
親って、すごいな。

今思うと、私もその友達も、赤色の折り紙が好きなのは同じで、
私は使わずにみていたい、友達は使いたい、
その違いがはっきりしただけだった。
すきなものをたくさん使って、もっとほしいと駄々をこねる方が、
子どもらしくて、大人にはわかりやすかったのかもしれない。

もっと、すきな折り紙を使ったらいい、もっとすきな色鉛筆を使ったらいい、
もっとすきなノートを使ったらいい、と、よく言われたし、
今でも、肌触りのいいかわいいタオルを使えなかったりするけど、
私は見ているだけがいい。
もったいなくて使わないで持っていると、
きらいだった?と勘違いされることもあるけど、違う違う。

すきなことをしていい、は、私にとっては難しいけど、
したいことを選んでしていい、と言われたら、ワクワクする。

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