2013/05/02

100まいえん

5ヶ月働いた児童館を、おとつい退職した。
ああ、また履歴書だけ長くなる・・・というデメリットはあるけど、
いろんな人と出会うのは、しみじみとした思い出になる。

ある日、字が得意ではない小2の女の子が、
「これあげる」と言って、小さい紙切れをくれた。
それには『100まいえん』と書かれていた。
「お給料だよ。100万円って書いてあるでしょ?」
と言われた瞬間に、わ~字が違ってる、どうしよう、と思った。
すでに、その子は、紙切れを何枚も持っていて、
おそらく全部、100まいえんと書いてあるんだろう・・・
きっとせっかく好意でくれているのに、字が違うと言ったら、
全部書き直すかもしれないし、がっかりするだろう・・・なんてことを、
あ、ありがとう・・と言いながら考えていたら、
その子は、他の人に100まいえんを配りに行った。

ああ、この先100まいえんで他の人に笑われたらかわいそうだ、
と思いながら、仕事に追われていたら、その後何回もその子が来て、
「お給料あげるから来て、ねえ来て」と言ってくる。
人の気もしらないで、のんきに100まいえんを配りやがって!と、
なんとなくイライラし始めて、200まいえんもらった所で、
もらったから、もういらないと冷たく言ってしまった。

帰ってから、冷たくして悪かったなと思い、翌日その子に謝りに行った。
その子は、また何枚もお金を作っている所で、
でも、ふっと見たら『100まんえん』と書いている。
その時に、しまったと思った。
100まいえんは、昨日しか見られないものだった。
小さい頃って、間違いを訂正され続ける毎日で、
これが正しいと大人が思う事を、毎日覚えさせられる日々だ。
何が書いてあるかじゃなくて、どうしてそれを作ったのか、
の方が大切だった、ということに、昨日は気がつかなかった。

私が「昨日はごめんね」と言ったら、
「いいよそんなの、それよりこれあげる」と言って、100まんえんをくれた。
どうしてくれるの?と聞いたら「お仕事がんばってるからね」

手作りの100まいえんが2枚と、100まんえん1枚、私の宝物になった。

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